ドラマ『ひらやすみ』感想
「ひらやすみ」は、俳優を目指し山形から上京するも夢に挫折し、フリーターとして生きるヒロトと、孤独な一人暮らしのばあちゃん、そして仲間たちとのほのぼのとした日常を描いたドラマ。
何者でもなくても、立ち止まってもいい——そんな気持ちにそっと寄り添ってくれる、心癒される物語だ。
偶然の出会い
散歩で見つけた古い平屋
ヒロトは散歩中、古い平屋の民家を見つけて写真を撮っていた。
その様子を住人のおばあちゃんに見つかり、「何写真撮っているんだよ」と声をかけられる。
カレーを通した初対面の交流
その瞬間、ヒロトのお腹が鳴ったことから、ばあちゃんは「カレー食べていくか?」と誘い、初対面ながらもご馳走になることに。
この偶然のやり取りが、ヒロトとばあちゃんの心温まる出会いの始まりだった。
入院と絆
一人ぼっちの入院生活
ある日、ばあちゃんが怪我をして入院することになる。
一人暮らしで家族もおらず、お見舞いに来る人もいない状況に、孤独を感じるばあちゃん。
隣のベッドから聞こえる家族の声に耐えられなくなり、ヒロトに入院したことをメールする。
頼れる人がいない一人暮らし。
それでも、ヒロトという存在がいたことが、ばあちゃんにとってどれほど救いだったかが伝わってくる。
ヒロトの駆けつけと感動の言葉
ヒロトは、バイト先の釣り堀で池に落ちて濡れ、少し臭っていたにも関わらず、急いで病院へ駆けつける。
ばあちゃんは嬉しさのあまり涙を流し、ヒロトに向かってこう言う。
「あんた、優しいね。いい人だね。あんた優しすぎるよ」
この場面は、距離や状況を越えて人を思いやる気持ちの尊さを感じさせるシーンだった。
ばあちゃんの遺志と新たな物語の始まり
家を託す決意
入院中、ばあちゃんはヒロトに自分の家を残すことを決める。
縁もゆかりもないヒロトに自分の家を託すばあちゃん。ヒロトの温かい人間性に触れて、1人でも寂しくない生活が送れたのかなと思う。
突然の別れ
ばあちゃんの家でいつものように夕食をとり帰宅したヒロト、その日にばあちゃんは倒れ、あっさり亡くなってしまった。
突然の別れの中、ヒロトはばあちゃんの家を相続することになり、ここから『ひらやすみ』の物語が本格的に始まる。
ヒロトと仲間たちの日常
挫折とアルバイト生活
ヒロトは、俳優になるため山形から上京して俳優活動をしていたが挫折。タイプの女優さんとの絡みは緊張してうまくできない不器用な性格で俳優には向かない。
現在は、金魚の釣り堀でアルバイトをしながら暮らしている。そこでもタイプの女性にはドギマギしてしまう。
大学生活の変化となつみの友情
一緒に暮らすいとこで大学生のなつみは、大学に中々馴染めず友達ができない時期があったが、福岡出身の同級生あかりと友達になることで少しずつ大学生活が楽しくなる。幼い頃からの夢で漫画家を目指して日々努力している。漫画家を目指していると告げたら、オタク扱いされると思い、東京で初めてできた友人あかりには言い出せずにいた。
ヒデキの葛藤とヒロトの支え
親友のヒデキは子どもが生まれ家族を守る責任を抱えるが、仕事でパワハラを受け心が壊れそうになる。
ヒロトが、ヒデキに今から店に行っていいかとLINEすると、ブロックされてしまう。ヒロトは、心が折れて俳優を辞めた時にヒデキに救われたことを思い出す。ヒデキの状態がその時の自分と重なり、堪らず店に会いにいく。「俺は、お前がいなくなったら辛いからな。」
ヒデキは、ヒロトの励ましで、仕事を辞める決断をし、新たな一歩を踏み出す。
ヒロトがいなければヒデキは、心を病んでいたかもしれない。親友っていいなと思わせるエピソードだった。
心温まる日常と癒しのドラマ
この物語は、ヒロト、なつみ、ヒデキ、そしてばあちゃんとの関係を通して、ほのぼのとして、じんわりと感動する日常を描いている。
現実社会ではみんな忙しく働き、ヒロトのように挫折してしまうと社会から取り残されたように感じることもある。
しかしヒロトが楽しく日常を送っている姿を見ると、うまくいかなくても、休むことがあっていいのかなと思わせてくれる、優しいメッセージが伝わってくるドラマだ。
悪人が出てこないので、安心してずっと見てられる。

