※本記事は『ばけばけ』第77話のネタバレを含みます。未視聴の方はご注意ください。
新聞に載った“何気ない日常”が、町の空気を一変させてしまった第77話。
称賛と好奇の視線の中で、トキやヘブンの立場は微妙に揺れ動いていきます。
一方で、同じ記事を見つめながら、サワは静かに自分の生き方と向き合っていました。
結婚に頼らず、自分の力で未来を切り開こうとするその決意の裏には、
希望と不安が入り混じる複雑な思いが隠されています。
第16週「カワ、ノ、ムコウ。」というタイトルが示すように、
それぞれが立つ場所から見える景色は、少しずつ違っていました。
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本記事では、新聞という“言葉の力”が生んだ誤解と変化、
そしてトキとサワ、二人の女性が選び取ろうとする未来について振り返ります。
『ばけばけ』第77話・第16週「カワ、ノ、ムコウ。」ネタバレあらすじ
松野家に広がる“新聞の影響”
朝ごはんの支度をしていたトキとフミは、前日の梶谷の取材騒ぎを思い返していました。
せっかくの夕食も落ち着いて食べられなかったと、不満をこぼす二人。
「私たちはいいけど、ヘブンさんがまた大変なことにならなきゃいいけど……」と心配します。
そんな空気を和ませたのは、当のヘブン本人でした。
「大丈夫。正座ない。小骨ない。天国」
相変わらず独特な日本語に、家族の表情も少し緩みます。
しかし、今朝の新聞を読んだ一同は言葉を失いました。
新聞の「ヘブン先生日録」の欄には、
これから毎日、ヘブン邸の様子を伝えると書かれていたのです。
記事の内容はというと――
- ヘブン邸の夕食は毎日西洋料理
- ステーキは素敵
- 奥様は貴婦人のように微笑んでいた
現実とは少し離れた、大げさな表現ばかりでした。
トキとフミは、その誇張ぶりに思わず顔を見合わせます。
街の人々の態度が一変
買い物に出かけたトキは、町の空気が変わっていることに気づきます。
これまで声をかけてこなかった人たちが、次々と話しかけてくるのです。
- 「ヘブン先生の奥様ですか?」
- 「毎日西洋料理でいいですね」
- 「今晩も素敵なステーキですか?」
家に戻ると、司之介やフミも同じような体験をしていました。
司之介は、
「牛乳がいつもの倍以上売れて、社長に褒められた」
と嬉しそうに話します。
変わらないヘブンの立場
一方で、ヘブン自身の立場は何も変わっていませんでした。
人々は彼を指差し、
「ヘブン、ヘブン、異人異人」
と好奇の視線を向けます。
異人だから珍しい――その理由だけで、以前から注目の的だったのです。
「私は、牛乳売るない。褒められない。いいことがない」
ぽつりとこぼした言葉に、トキの胸は締めつけられました。
「いつも、いつもご苦労様です」
その一言が、静かに二人の距離を近づけます。
梶谷、再び取材に現れる
そこへ再び新聞記者・梶谷が現れます。
「おった、おった。人気者一家が、人気者が」
ヘブン一家のおかげで新聞が飛ぶように売れていると、満面の笑みで礼を述べる梶谷。
町の人々はもっと暮らしぶりを知りたがっていると言い、再び取材を始めます。
しかし語られるのは、どれもごく平凡な日常でした。
- トキ「いろんな人に声をかけられた」
- フミ「こんなことは生まれて初めて」
- ヘブン「何もない」
- 司之介「ただ毎日暮らしているだけ」
梶谷は「これでは記事にならない」と頭を抱えます。
英語の勉強風景が記事になる
そこでヘブンは、トキに英語を教え始めました。
- 紙 ― ペイーパー
- 夫 ― ヘズバンド
- マイネエームエズトキ
- センキョー
その微笑ましいやりとりが、そのまま新聞記事になります。
何気ない日常が、また“特別な物語”として切り取られていきました。
第77話の感想
第77話では、
新聞という「言葉の力」が、人々の視線や評価をいとも簡単に変えてしまう怖さが描かれました。
同時に――
- 異人として見られ続けるヘブン
- 周囲の期待を背負わされるトキ
- 結婚に頼らず生きようとするサワ
それぞれが「川の向こう側」にある価値観と、少しずつ向き合い始めています。
静かな日常の中で、確実に何かが動き出している――
そんな余韻を残す一話でした。
サワの複雑な心境
特に印象的だったのが、サワの複雑な心境です。
新聞に載ったトキの姿を見たおナミは、
「もうあっち側の人間だ」「松江の名士だ」と口にしました。
かつて同じ痛みを分け合っていた存在が、
知らぬ間に遠くへ行ってしまったような――
その言葉には、羨望と諦め、そして取り残された者の寂しさが滲んでいました。
一方でサワ自身は、その価値観を受け入れることを拒みます。
「私は男の力は借りずに、自分の力でここから出る」
その言葉は強くまっすぐでしたが、
同時に、そう言い聞かせなければ前に進めないほどの不安や焦りも感じさせました。
希望と現実の狭間で揺れながらも、
それでも自分の足で立とうとする――
サワの姿は、「川の向こう側」を目指すもう一つの物語として、静かに胸に残ります。
📘 前回のお話
第16週では、新聞記者・梶谷の取材をきっかけに、
ヘブン一家の日常が少しずつ世間にさらされ始めました。
前回・第76話では、何気ない善意の取材が、思わぬ波紋を広げていく始まりが描かれています。
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