※本記事は、NHK連続テレビ小説『ばけばけ』第85話・第17週「ナント、イウカ。」の内容を含みます。
未視聴の方はご注意ください。
第85話では、庄田のプロポーズをきっかけに、
サワがこれまで貫いてきた生き方と、その奥にあった意地が静かに浮かび上がります。
教師になり、自分一人の力で借金を返し、
今の生活から抜け出すと決めていたサワにとって、
誰かに人生を委ねる選択は、簡単に受け入れられるものではありませんでした。
本記事では、第85話の出来事を整理したうえで、
サワがプロポーズを受け入れられなかった理由や、
トキに向けられた言葉に込められた意地と葛藤について、
物語の流れに沿って考察していきます。
『ばけばけ』第85話・第17週「ナント、イウカ。」あらすじ(ネタバレ)
庄田の訪問と、トキの後押し
庄田は、トキとヘブンのもとを一人で訪ねてきます。
用件は、おサワのことでした。
トキは、おサワが庄田を気にかけていることを伝え、
「差し出がましいですが、おサワをお願いしてもええですか」と頭を下げます。
庄田は、その言葉を受け止め、静かに了承するのでした。
おサワの迷いと、庄田の決断
おサワは毎晩、必死に勉強を続けていました。
母は婿をもらって長屋を出る道もあると勧めますが、
おサワは話を逸らします。
その後、庄田は錦織を訪ね、
松江中学校の教師になる決意を固めます。
教師就任と、突然のプロポーズ
庄田はおサワに、教師を引き受けることになったと報告します。
喜ぶおサワに対し、庄田は突然、
「わしと夫婦になろう」とプロポーズします。
惚れているから教師になる決断をしたこと、
月二十五円の給金で借金を返し、
二人で長屋を出たいという思いを真っ直ぐに伝えるのでした。
掴めなかった手と、川辺の涙
その後、おサワは一人で川を眺めていました。
そこへトキが現れます。
おサワは、
「天にも上るほど嬉しかったのに、どげんしても掴めんかった」
と涙ながらに語ります。
そして、
「私はおトキにはなれん。シンデレラにはなれんけん」
と、自分の限界を口にするのでした。
花を手にしたトキに抱きしめられながら、
おサワは「全部おトキのせいだけんね」と泣き、
トキは「ごめん」と繰り返しながら、その背中を抱き続けます。
ここで第85話は幕を閉じます。
『ばけばけ』第85話の感想・考察
自分の力で立つと決めていたサワの覚悟
サワは、教師になり、自分一人の力で借金を返し、
今のどん底の生活から抜け出すと、すでに心を決めていました。
だからこそ、庄田のプロポーズを、
「幸せへの近道」として受け取ることができなかったのだと思います。
「男性に人生を委ねない」生き方への距離感
サワはこれまで、
トキのように男性に人生を委ねる生き方に、
どこか距離を置き、時には厳しい態度を取ってきました。
それは、自分はそうならないという強い自負と、
自分の力で立ち続けるという覚悟があったからです。
庄田のプロポーズが突きつけた選択
しかし、庄田の申し出によって、
サワ自身もまた、同じ選択を突きつけられる立場になりました。
ここでその手を取ることは、
これまで否定してきた生き方を肯定することになり、
同時に、過去の自分を裏切ることにもなってしまう。
「私はおトキにはなれん」に込められた本音
「私はおトキにはなれん」という言葉は、
トキを責めるためのものではなく、
自分自身に課してきた生き方から逃げられないという、
サワの意地とプライドの表れだったように思います。
強さであり、不器用さでもあったサワの選択
それは強さでもあり、同時に不器用さでもありました。
こだわりを手放し、自分の幸せを優先してもよかったはずなのに、
それができないところに、サワという人物の苦しさがあります。
もしタイミングが違っていたなら
一方で、庄田のプロポーズのタイミングも、
サワにとってはあまりに突然でした。
もし教師の採用が決まり、
「自分の足で立てる」と実感できたあとであれば、
庄田の言葉は、支えとして受け止められたかもしれません。
想いがあったからこそ生まれたすれ違い
想いがあったからこそ踏み出した庄田と、
想いがあったからこそ立ち止まってしまったサワ。
このすれ違いは、誰か一人の過ちではなく、
それぞれが必死に選ぼうとした結果だったのだと感じました。
まとめ|掴めなかった手が残したもの
第85話は、誰かを選ばなかった物語というより、
自分の生き方を裏切れなかった人の物語だったように思います。
サワは幸せを拒んだのではなく、
これまで必死に積み上げてきた意地と覚悟を、
最後まで手放せなかっただけでした。
その不器用さを、
一番近くにいたトキに向けてしまったことも含めて、
サワの選択はとても人間らしく、切ないものでした。
掴めなかった庄田の手は、
「もし受け入れていたら」という思いとともに、
サワの心の中に残り続けるものだったのだと思います。
その選択が、この先どんな形で受け取られていくのか――
答えはまだ描かれていません。
だからこそ、この回は静かな余韻を残したまま、幕を閉じたのだと感じました。
作品情報
作品名:NHK連続テレビ小説『ばけばけ』
放送局:NHK総合
放送期間:放送中
放送時間:毎週月曜〜金曜 午前8時00分〜(再放送あり)
主演:髙石あかり
主な出演:
トミー・バストウ/円井わん/濱正悟/吉沢亮 ほか
作品概要:
明治期の松江を舞台に、言葉や文化の違いを越えて人と人が心を通わせていく姿を描いた連続テレビ小説です。
異国から来た教師ヘブンと、彼を取り巻く人々の交流を通して、
自立や選択、社会のまなざしといったテーマが丁寧に描かれています。
公式サイト:
NHK連続テレビ小説『ばけばけ』公式サイト
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