ドラマ『シナントロープ』来週最終回【ネタバレあり】――消えない過去が、いちばん人を追い詰める

2025年ドラマ

最終回を前に、重く残る気持ち

ドラマ『シナントロープ』も、来週が最終回。ここまで来て、こんなにも重たい気持ちで見届けることになるとは思わなかった。話が進むにつれて、今起きている出来事よりも、消えない過去のほうが人を追い詰めていく物語なのだと強く感じている。

久太郎の死が突きつけたもの

今回、特に心に強く残ったのは久太郎の死だ。久太郎は、仲間のりゅうじと自分、どちらかを殺すと折田に迫られ、「俺だな」と即座に答える。親友を守りたかったのだと思う。そこに迷いはなかった。

その後、久太郎は折田を殺せそうなところまで追い詰める。しかし折田から、「俺が一定時間仲間に連絡しなければ、りゅうじは殺される」と告げられ、躊躇してしまう。確認のためにりゅうじへ電話をかけるが出ない。代わりに出たむつみに、折田のパスワードを告げられ、それをメモする。その一瞬の隙を突かれ、折田に刺され、形勢は一気に逆転する。

「後悔はない」と「死にたくない」の間

人が良すぎた、と言ってしまえばそれまでかもしれない。でも、その甘さこそが久太郎だった。

久太郎は最期にこう言う。
「死ぬのは怖い。でも、一切後悔はしていない。」

それでも銃を向けられた瞬間、
「死にたくないよ」
と叫ぶ。その言葉を言い終えると同時に、頭に銃弾を受け、すべてが終わる。

後悔がないことと、死を受け入れられることは同じではない。あの叫びは、最後まで生きたかった人間の、偽りのない本音だったと思う。

折田という人間の異質さ

一方で、折田は狂気に満ちている。人を殺すことに罪悪感はなく、むしろ楽しんでいるようにさえ見える。迷いも躊躇もない。久太郎が勝てなかったのは、力の差ではなく、「人間であること」の差だったのかもしれない。

脅迫状が示す、消えない過去

物語は、初回から続く「脅迫状」という違和感にもつながっていく。折田に届いた脅迫状と同じ文面のものを、むつみは水町にも送っていた。差出人として使われたのは、過去に水町を助けた人物、シマセゲラの名前だった。しかし前回、シマセゲラ本人は「自分は脅迫状を書いていない」と都成に告げている。

水町の父親は、ある人物に依頼され、折田の父親のマンションに強盗に入った。そこにいたのは父親ではなく、中学生の折田だった。水町の父親はその場で惨殺され、シマセゲラも重傷を負う。それでもシマセゲラは折田を刺し、逃げ延び、直後に子どもだった水町を助け出している。

この過去を踏まえると、脅迫状を送った人物は、折田に恨みを持ち、なおかつシマセゲラが折田を刺したことを知っている人物だろう。直接殺すのではなく、動揺させ、ボロを出させようとしているように見える。

最終回で明かされるはずの真実

来週の予告も不穏だ。折田は水町に「君の父親がどうやって死んだか教えてあげようか」と告げる。その直後に重なる、水町の「最高の父親だった」という言葉。そして、折田が水町に銃を向ける場面で予告は終わる。

折田に監禁された水町がどうなるのか。都成や仲間たちが救出してくれるとは思うが、最後まで目が離せない。

最終回が待ちきれない

来週、いよいよ最終回。水町の父親とシマセゲラに強盗を依頼した人物は誰なのか。折田は捕まるのか。どんな結末が待っているのか、見逃せない。

最終回感想は、こちらです。

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