ドラマ「ばけばけ」第13週感想(61話~65話)|サンポ、シマショウカ。が描いた別れと決意【ネタバレあり】

ドラマ感想


※ネタバレ注意:登場人物の行動や心情に触れています
12月22日~26日放送の第13週「サンポ、シマショウカ。」は、トキ・銀次郎・ヘブン先生、イライザ、それぞれの想いが静かに交差する一週間でした。
大きな出来事が起きなくても、視線や間、言葉の選び方に感情がにじみ、心に残る回が続きます。

第13週(12月22日~26日放送/第61回~第65回)振り返り

第61回(12月22日)

ふたりの夜の怪談タイムは、怖い話をしているはずなのにどこか穏やかで、ヘブン先生から「トキ師匠」と呼ばれるおトキとの距離が、自然と縮まっているのが伝わってきます。

そんな中、元夫・銀次郎からトキ宛てに手紙が届きます。4年も前に家を出て行った相手からの突然の便りに、家族は皆訝しみます。トキの父親は「よりを戻しに来るのでは」と勘繰っていました。

銀次郎が会いに来ることになり、トキはヘブン先生に休みを願い出ますが、「知り合いに会うため」と伝えると返事は保留。しかしその後、一通の手紙が届くとヘブン先生は、トキの休みをあっさり快諾します。

どうやら、ヘブンの部屋に飾られている写真の女性――イライザが会いに来るようでした。

第62回(12月23日)

銀次郎がトキの実家を訪ねます。玄関先でなかなか踏み出せずにいましたが、トキの母に声をかけられ、ようやく中へ。

家に上がるなり、4年前に家を出たこと、トキが東京まで迎えに来たのに一緒に帰らなかったことを詫びます。祖父は「その時は腹も立ったが、もう水に流そう」と声をかけ、また稽古をしようと優しく促します。

「もう稽古はできない」と銀次郎が言うと一瞬怒ったように見せますが、すぐに冗談だと笑い、場は和みます。

やはり銀次郎の目的は、トキとやり直すことでした。東京で会社を興し、200円稼いでいると語り、トキと家族を東京に呼んで一緒に暮らしたいと話します。

印象的だったのは、トキの父親の
「こんなこともあろうかと、まだ籍は抜いていなかった」
という言葉。現実的でありながら、娘を思う強い気持ちがにじむ場面でした。

その夜、トキはヘブン先生に、翌日元夫と会うことを伝えます。ヘブン先生もまた、イライザと会う予定があるようでした。
トキは、銀次郎との再会をどこか心待ちにしているようにも見えます。

第63回(12月24日)

とにかく、この回の浮かれたトキが可愛らしい一話でした。 銀次郎に会うことを楽しみに、普段は塗らない口紅をつけ、少し背伸びをしている様子が微笑ましい。

父親が「塗りすぎじゃないか。口から血が出てるみたいだ」と言う場面も印象的で、口紅を拭いて塗り直す仕草から、期待と不安が入り混じったトキの気持ちが伝わってきます。

迎えに来た銀次郎と、4年ぶりに再会するふたり。
久しぶりの再会にもかかわらず、会話はどこかぎこちなく、過ぎ去った時間の長さを感じさせます。
ふたりは思い出の地・松風の怪談の場所を訪れ、その後、大亀のある寺へ。そこで偶然、ヘブン先生とイライザ、錦織さんとばったり出会います。

第64回(12月25日)

錦織が、それぞれを紹介します。 ヘブン先生がおトキの雇い主だと知り、銀次郎は握手を求めて手を差し出しますが、ヘブン先生は応じません。その代わりに、イライザが手を取ります。
この仕草には、元夫・銀次郎へのわずかな嫉妬がにじんでいるようにも見えました。

錦織は、イライザとヘブン先生が新聞社の同僚で、今回はヘブンが呼んで日本へ来たことを説明します。

大亀の怪談の話題になると、ヘブン先生は興奮気味に語り出します。それを見た銀次郎は、「ヘブン先生、怪談知ってるんだ」と、どこか不満そう。

トキが毎晩のように怪談を語っていると知り、銀次郎とイライザの間には、微妙な緊張が走ります。
トキは皆の前で怪談を披露します。
通訳しようとする錦織を制し、ヘブン先生はトキの語りにじっと耳を傾けます。その輪に入れない銀次郎、イライザ、錦織は、少し離れて見守るだけ。怪談が終わるのを待つ銀次郎の、切なそうな表情が印象に残りました。

帰り際、銀次郎は
「東京の怪談もすごいよ。おトキちゃんと一緒に聞きたい」
そして、
「おトキちゃんとやり直したい。一緒に東京で暮らそう」
と、改めて想いを告げます。

第65回(12月26日)

この回で、トキとヘブン先生が互いに想い合っていることが、はっきりと描かれました。

特に心に残ったのは、銀次郎の
「おトキちゃんが好きです。愛しているから、諦めます」

という言葉。切ないながらも、相手の幸せを思って身を引く銀次郎の優しさが、静かに胸に残ります。

ラスト、ヘブン先生が「散歩します」と橋を歩き出し、

トキが「私もご一緒していいですか」と声をかける場面は、第13週を象徴するような、静かで美しい名シーンでした。

総評

第13週は、トキとヘブン先生の想いが、少しずつ形を持ちはじめた一週間でした。 銀次郎の帰還に喜ぶ家族とは裏腹に、トキの心は静かにヘブン先生へと傾いていきます。

一方のヘブン先生も、記者仲間のイライザから「日本を離れ、暖かい地で滞在記を書こう」と誘われながら、どこか踏み切れない様子。それはきっと、トキの存在が心にあるからなのでしょう。

これまで「女中」という立場で描かれてきたトキが、ひとりの女性としてヘブン先生に意識されていることが、はっきりと伝わってきた週でした。

この先ふたりは結ばれるのか――そんな期待と余韻を残す一週間だったと思います。

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