※本記事は、NHK連続テレビ小説『ばけばけ』第78話のネタバレを含みます。
未視聴の方はご注意ください。
ヘブン先生日録の連載が町中で大きな話題となり、
トキ(髙石あかり)とヘブン(トミー・バストウ)は、街の人々から温かく迎えられる存在になっていきます。
英語を通して距離を縮め、仲睦まじく歩く二人の姿は幸せそのもの。
一方で、貧しさから抜け出そうともがくサワ(円井わん)とおナミ(さとうほなみ)の姿が、静かな切なさを残しました。
同じ町に生きながら、まったく異なる未来を見つめる人々――。
第78話では「幸せの光」と「川の向こうの現実」が鮮やかに対比されて描かれます。
番組の詳しい情報は、NHK公式サイトをご覧ください。
ヘブン先生日録、大反響の広がり
ヘブン先生日録の連載は、町の人々の間で大きな話題となっていました。
トキ(髙石あかり)とヘブン(トミー・バストウ)の日常は、天国長屋にまで伝わり、その影響力の大きさが感じられます。
一方、サワ(円井わん)とおナミ(さとうほなみ)は、自分たちがこの長屋をどうやって出ていくのかを、それぞれ思案していました。
町中の注目を浴びるトキとヘブン
散歩中のトキとヘブンは、町のあちこちで人々から声をかけられます。
新聞記事の影響力の強さに、二人は戸惑いを隠せません。
そんな中、トキは突然英語を話すよう求められます。
ヘブンに「大丈夫。大丈夫」と励まされ、トキは勇気を振り絞って、
「マイネイムイズトキ。アイライクシジミ。センキョー」
と自己紹介しました。
英語のやり取りが生んだ小さな奇跡
今度は二人で英語を話してほしいと頼まれます。
ヘブンが英語で何かを話しますが、トキには聞き取れません。
そこでヘブンはトキに耳打ちし、「センキョー」と答えるよう促します。
ヘブンが「素晴らしい」と言うと、周囲の人々は「今、何と言ったのですか?」と興味津々で尋ねました。
ヘブンは笑顔で、
「世界一可愛い女性です」
と訳し、それを聞いたトキは照れながら再び「センキョー」と答えるのでした。
サワの決意と新たな学びの場
サワは山橋薬補を訪れていました。
目的は、白鳥クラブを探すことです。
山橋薬補の二階では、学びのためのサロンが開かれており、サワは正規の小学校教師になるため、同僚の紹介でここを訪れていました。
そこで土木技師を目指して勉強している土井から、
「教師になりたいということは、ヘブン先生のようになりたいということだろう?」
と問われます。
「おトキさんになりたいわけではない」
さらに、
「つまり、あんたはおトキさんになりたいのだろう?」
と言われたサワは、
「違います」
ときっぱり否定しました。
思わず大声を出してしまい、「びっくりした。そげに大声を出さんでも」と言われ、サワは素直に謝るのでした。
おナミに持ち上がる身請け話
一方、遊郭で働くおナミのもとには、贔屓客の福間から身請けの申し出がありました。
「身請け?」と驚くおナミ。
福間は以前から話していたと言いますが、おナミは冗談だと思っていたのです。
夢と恐怖のはざまで揺れる心
遊郭の人々は身請け話を歓迎しますが、おナミの胸中は複雑でした。
「ここから出ることは、夢にまで見てきたこと。
天にも昇る気持ちです。
ただ、怖いのでございます」
そう打ち明けるおナミに対し、遊郭の人は激しく叱責します。
しかし福間は、
「ゆっくり考えろ」
と優しく声をかけるのでした。
川の向こうを見つめる二人
サワは山橋薬補から自宅へ戻ります。
母に「勉強はできたかね?」と聞かれ、「まあまあね」と答えたあと、夕食の支度のため外へ出ました。
サワは家の外で、川の向こうをじっと見つめます。
同じ頃、おナミもまた、遊郭の二階から外を見つめていました。
二人の視線の先には、それぞれが越えたい“川の向こう”がありました。
ヘブン亭で起こった思わぬ騒動
ヘブン亭には新聞記者の梶谷が取材に訪れていました。
「マイネイムイズトキ、これは流行りますよ」
と笑いながら、取材を始める梶谷。
何か面白い話はないかと尋ねられ、一同が首をかしげていると、ふみがある出来事を思い出します。
一本の箸が呼び起こした大騒ぎ
昼間、隙間に箸を落としてしまい、どうしても取れないというのです。
司乃介は「そんな話、新聞に載るわけがない」と言いますが、梶谷はその話に目をつけます。
新聞には、
「腕長ヘブン先生でも届かぬ隙間の箸
一家を救う者求む」
という記事が掲載されました。
すると、それを見た町の人々が次々とヘブン亭に集まってきたのです。
豊かさが生んだ“隙間”
箸はなかなか取れず、人が入れ替わり立ち替わり挑戦します。
司乃介は、
「家が広くなり、物が増えると隙間ができる。
長屋には一つの隙間もなかった。
これは豊かになった証だのう」
と、しみじみ語りました。
そしてついに、箸が取り出されると、家中に歓声が広がります。
第78話の余韻
些細な出来事が大きなうねりを生む――。
ヘブン先生日録の影響力は、町の空気そのものを変え始めていました。
その一方で、サワとなみはそれぞれの場所から、
“川の向こう側”へ進む未来を静かに見つめています。
笑いと温かさの中に、確かな転機の予感が漂う第78話でした。
第78話の感想|幸せの光と、川の向こうの切なさ
トキとヘブンの仲は、英語を教わるようになってから、ますます縮まったように感じました。
ぎこちなかった言葉の壁が少しずつなくなり、笑顔でやり取りする姿は見ているこちらまで温かい気持ちになります。
仲睦まじく街を歩く二人の姿は、町の人々にもすっかり受け入れられ、祝福されているようでした。
好奇の目ではなく、応援の眼差しに変わっていく空気が、幸せに満ちていて印象的です。
その一方で、おナミとサワは、貧しい生活から抜け出すために必死にもがいています。
身請けという選択に恐れを抱くおナミ。
教師になる夢を胸に、川の向こうを見つめ続けるサワ。
同じ町に生きながら、置かれた立場も未来もまったく異なる二人の姿が、トキとヘブンの幸福な時間と強く対比され、胸が締めつけられました。
だからこそ、ただ苦しいだけでは終わってほしくないと思います。
おナミにも、サワにも、自分の意思で選び取った幸せが訪れてほしい――。
そう強く願わずにはいられない、切なさと希望が同時に胸に残る一話でした。
▼昨日の記事はこちら
前回・第77話では、ヘブン先生日録の連載が始まり、
町の空気が少しずつ変わり始めました。
新聞に載った何気ない日常が思わぬ波紋を広げ、
トキとヘブン、そして長屋の人々の立場にも変化が生まれていきます。

